Spotlight
インタビュー
債権ビジネスで培った経験・ノウハウで
独自の不動産投資モデルを探求する
不動産投資の特色についてチームの主要な二人に聞く
大和PIパートナーズでは、金銭債権やPE投資の他に、不動産への投資を行っている。
日本では人口減少やオフィス利用の変化などによる不動産需給の不均衡が起きていることもあり、利用価値がなくなったとみなされる不動産が増えている。これらの案件は、権利関係が複雑なことや何らかの瑕疵を有していることが多く、投資のハードルや難易度も高いが、リスクを負う分リターンは大きく、また社会・地域貢献の側面も有している。この領域に投資をすることができるプレーヤーは限られているが、大和PIパートナーズでは長年の金銭債権投資の経験を活かし、独自の不動産投資モデルとして、2018年から探求を続けているという。
今回はチームを牽引するお二人にその中身を聞いた。
メンバー:
2005年、大和証券SMBC株式会社(現大和証券株式会社)入社。ストラクチャード・ファイナンス部、不動産・REITセクター部を経て、2020年4月より債権・不動産投資業務に従事。
早稲田大学法学部卒業、早稲田大学大学院法学研究科修了。
社団法人日本証券アナリスト協会検定会員、不動産証券化協会認定マスター、宅地建物取引士。
債権・不動産投資部
横尾 隼平
信託銀行・不動産アセットマネジメント会社を経て大和証券株式会社へ入社。2019年3月より債権・不動産投資業務に従事。主に不動産投資のアクイジション・期中管理などを担当。
立命館大学理工学部卒業、立命館大学大学院理工学研究科修了。
不動産証券化協会認定マスター、宅地建物取引士、一級建築士。
債権・不動産投資部
岩口 泰徳
債権ビジネスで培った経験・ノウハウの蓄積が独自の不動産投資モデルの源流
大和PIパートナーズが行う不動産投資モデルはいわゆる不動産投資ではあるものの、その成り立ちにユニークなところがあると伺いました。その辺りをまず教えていただけますか?
横尾
大和PIパートナーズのビジネスの発端は金銭債権ビジネスであり、20年以上続いています。
投資対象となる債権には不動産担保が付されているものが多く、その投資経験から不動産価値の判断や不動産のバリューアップ、および不動産売却のノウハウ・ネットワークが蓄積していました。
私たちは、この経験・ノウハウを活かすことで、他のプレーヤーが手がけにくい不動産について独自の投資戦略を実行し収益の最大化を図ることができると考え、2018年に現在の不動産投資モデルの運用を始めました。
収益力の源泉が金銭債権ビジネスで培った経験・ノウハウであるところは特徴的で、数多くのプレーヤーがひしめく不動産投資分野において、差別化ポイントの1つだと認識しています。
一般的な不動産投資ファンドとは対照的な物件を積極的に取り扱う
なるほど、そもそも債権ビジネスを収益化するためにやってきたことが、そのまま不動産投資ビジネスの礎になっているということなんですね。
具体的な手法について伺っていきたいのですが、投資対象となっている不動産に特色はありますか?
横尾
私たちは主に中小規模かつオポチュニスティック型の物件に投資しています。これは一般的な不動産投資ファンドとは対照的な領域になります。
先に申し上げた債権ビジネスで培った経験・ノウハウを活かすことにより、他社が手がけにくいリスクの高い不動産を独自の視点やリスク許容度で投資・運用することができます。
岩口
不動産と一言で言っても様々です。債権の担保となっている不動産、信託受益権等で金融商品化されている収益不動産、今後開発を予定している不動産、建築途中で工事がストップしてしまった不動産など、どのようなタイプの不動産であっても私たちの投資対象となりえます。
収益物件の利回り勝負といった不動産の買い方はあまりしていないですね。一見すると注目に値しないような不動産へ投資し、資産価値や流動性を高めて売却する投資が得意かもしれませんね。
また、債務整理の一環として担保不動産を我々が取得したり、競売物件を取得したりもしています。不動産売買マーケット以外にもこういった不動産のソーシング手法があるのは強みですね。
豊富な資金提供のバリエーション
金銭債権ビジネスのノウハウが、そのまま不動産投資ビジネスの底力になるところに強さを感じますね。
他に大和PIパートナーズの「不動産投資ビジネス」に特徴的なところはありますか?
岩口
投資対象となる不動産への資金の出し方が豊富であると言えます。
例えば、既存の不動産担保付き債権やノンリコースローン債権を買うこと、新規の不動産担保ローンを提供すること、不動産の所有権を取得すること、不動産を裏付け資産とする信託受益権へ投資することなどのオプションがあります。これらも金銭債権ビジネスで培ったノウハウが元となっています。
さまざまな資金提供者としての立場で、不動産に関するあらゆる資金提供ニーズに応えることが可能なため、投資できる不動産の選択肢、収益化の機会が増えます。
多様な資金提供が可能であることで、外部環境のいかんに関わらず様々な投資ができます。例えば好景気にはローンやエクイティを提供し、金融機関の不良債権比率が高くなれば金銭債権への投資を行うといった具合です。
有資格者のプロフェッショナルが集まるチーム
20年以上の金銭債権ビジネス経験から生まれた手法が多く、差別化ポイントが多岐にわたることがよく分かります。
この独自の不動産投資モデルを担当するのはどのようなチームでしょうか?
横尾
チームは不動産鑑定士、建築士、司法書士などの有資格者を含め、プロフェッショナルが集まっています。基本的には全員がジェネラリストとスペシャリストをこなすポジションにいて、それぞれの専門性を発揮しながら、チームとして仕事をしています。
私は17年間の不動産ファイナンス業務経験をもとに、投資発掘から期中管理、Exit業務まで幅広い業務に関与し、チームメンバーの専門性・強みをより発揮できるように心がけています。
仕事をする中で、投資銀行業務などの証券業務に限らず、投資業務においてもチームワークと多彩な専門性が重要であると感じており、それらをどう組織の中で浸透させていくかを率先して考え、実践していくことが役割だと考えています。
岩口
私は過去の信託銀行や不動産アセットマネジメント会社での業務経験をもとに、新規投資実務や期中運営実務のサポートを行っており、また不動産開発案件や工事施工方法に関する助言等も行ったりしています。
特に不動産流動化案件についてはノウハウも蓄積されつつあり、投資対象案件の種類の幅が広くなったと感じます。
他にも各分野の専門家が集まり、査定や運用、法律面での知見を結集させることで可能になる投資も多く、このチームだからできることがあります。
不動産投資ビジネスは発展途上、自分たちに何ができるかを考える
まさに匠の集団といったところですね。お二人が描く不動産投資の未来とはどのようなものでしょうか?
横尾
運用開始から約5年が経過しました。コロナ禍等の困難はありましたが、改めて、大和PIパートナーズには最高のチームに必要な人材、カルチャー、環境が整っており、私たちメンバーの「志」次第で、あらゆる投資機会にチャレンジすることが可能な組織だと感じています。
今後もチャレンジとともに、社会・組織の持続的成長に何が必要であるかという観点を忘れずに、日々の業務に取り組んでいきたいと考えています。
岩口
今、横尾さんから持続的成長というお話がありましたが、不動産投資ビジネスはまだ発展途上にあります。ここ数年では不動産クラウドファンディングやデジタルアセットの商品がものすごいスピードで拡充しています。さらに観光政策やポストコロナにおける働き方の変化・回帰等といった社会動向も見られます。大和PIパートナーズの不動産投資ビジネスもこれらの潮流とは無関係ではいられないと感じていますので、日々の研鑽を怠ることのないようにしたいです。
また社会的課題としても、例えば人口減少・少子高齢化による世帯数の減少や空き家増加、大規模オフィスの大量供給による中小規模のオフィスビルの空室率上昇や賃料の下落、区分所有マンションの老朽化などがあります。このような局面では「一見すると注目に値しないような不動産」が出てくるはずですが、我々が培ったノウハウや様々な資金提供手法を活用することで、これら社会的課題はビジネスチャンスになるとも思っています。今後、不動産がもつ社会的役割を見据え、新陳代謝を促すことによって豊かな持続可能社会の実現に貢献できればと考えています。
本日はお忙しい中ありがとうございました。大和PIパートナーズの「不動産投資ビジネス」の今後がますます楽しみです。